【中小企業向け】DXの進め方について|取り組むべき”最初の一歩”とは?
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経済産業省は「中堅・中小企業等向けDX推進手引き」で、「意思決定」「全体構想・意識改革」「本格推進」「DX拡大・実現」の以下4ステップをDXの進め方を提示しています。 しかし、「進め方」とはなっていますが、抽象度が高く、「それで結局具体的に何をすればいいのか?」と首を傾げたくなるのではないでしょうか。 そこで今回は、DXに取り組みたいと考えている中小企業の方に向けて、DXの進め方やDXに成功・失敗する中小企業の特徴、DXに必要な人材などについて解説します。
<監修:リトルソフト株式会社 Y.Y>
ITエンジニア歴12年の女性エンジニア。どのような現場にも伝わるわかりやすい説明を心がけており、最近はSvelteを使ったフロントエンド開発にも取り組んでいる。
中小企業のDXを支援し続けて20年
Webシステムによる業務効率化やコスト削減の成功例をご覧ください
中小企業の大半が本格的なDXは“未着手”の状態
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まず、中小企業のDX推進の状況について把握しておきましょう。
結論からお話しすると、「多くの企業がまだ本格推進の段階には到達していない」ということです。
経済産業省では冒頭で触れたようなDXの進め方4ステップのほか、企業がデジタルを使って変わっていく“成長の道のり”を「DX推進の3フェーズ」として以下を挙げていますが、エンジニアの立場から見ると、フェーズ1の「紙→デジタル」の段階に至っていない企業が多い印象です。
・フェーズ1:デジタイゼーション(デジタル化)
紙の書類や手作業をデジタルデータに置き換える段階。まずは「データを扱える状態」をつくることが目的です。
(例:紙の書類をPDFにスキャン、名刺を名刺管理アプリで読み取る、紙のタイムカードをICカード打刻や勤怠システムへの置き換えなど。
・フェーズ2:デジタライゼーション(業務プロセス改革)
デジタル技術で業務プロセス全体を効率化する段階。
(例:販売・在庫・会計を連携させたシステム構築、ワークフローの自動化など)
・フェーズ3:デジタルトランスフォーメーション(経営・事業変革)
データとデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや組織のあり方を変革し、新たな価値を生み出す段階。
(例:データ分析による新規サービス開発、オンライン中心の営業モデルへの転換など)
実際、経済産業省の「DX支援ガイダンス」によると、中小企業基盤整備機構が2023年に実施した調査では、中小企業のDX取組状況は以下の通りです。
※元データでは「段階1~4」という表記ですが、本記事では読者にわかりやすくするため「未着手・フェーズ1~3」という表記で統一しています。
・未着手(デジタル化に全く取り組んでいない):20.3%
・フェーズ1(デジタイゼーション段階):45.9%
・フェーズ2(デジタライゼーション段階):29.2%
・フェーズ3(DX段階):4.6%
つまり、未着手とフェーズ1を合わせた約66%の中小企業が、まだデジタル化の初期段階にあり、本格的な業務プロセス改革やDXには至っていない状況なのです。
(参考:中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(2023年)」2023年10月)
この状況をどう捉えるかで自社のDXの未来が変わってきます。 「それなら、まだ急がなくて大丈夫」なのか、それとも「ならば我が社は早めに実行しよう」となるのか……。
DXは一気に進めるものではなく、早く始めた企業ほどデータが蓄積され、次の改革につなげやすくなります。ですから、今はまだ取り組んでいる企業が少ないからこそ、動き始めた企業が優位に立てるタイミングと言えるでしょう。
中小企業はまず、何から始めればいいのか?〜”DX最初の一歩”〜

ビジネスの世界では、先に動いた企業が優位に立ちやすいと言われます。DXも同じで、“先手必勝”の姿勢がその後の成果を大きく左右します。 では、何から始めればいいのか。
いきなり開発ベンダーやツールの選定に進む必要はありません。
中小企業のDX 最初の一歩は“業務の棚卸し”から
最初に取り組むべきは、DXにおける「業務の棚卸し」です。
DXにおける業務の棚卸しとは、社内で行われている仕事を洗い出し、誰が・何を・どのような手順で・どんなツールを使って行っているかを丁寧に整理することです。難しい作業ではありません。日常的に行っている業務を一つずつ可視化するイメージでしっかりチェックしていきましょう。
この棚卸しを行うと、次のような“デジタル化すべき業務”が自然と浮かび上がります。 具体的には…
- 紙で管理している日報・勤怠・注文書
- Excelで担当者ごとにバラバラに管理されている顧客情報
- 口頭やメールで依頼している承認作業
- 特定の人だけが知っている属人化した業務
これらは非効率であるだけでなく、ミスや引き継ぎのトラブルにつながりやすく、DXによる改善効果が最も期待できる領域です。
業務の棚卸しの後のステップは?
業務の棚卸しで全体像と課題が見えてきたら、次に行うべきなのは「どの業務から改善すべきか」の優先順位をつけることです。すべてを一度に変える必要はありません。まずは、影響範囲が広く、改善効果が高い領域(前述通り、紙での管理・属人化・情報共有の遅れなど)から着手するのが効果的です。
優先業務が絞れたら、その業務を「どういう状態になれば理想か(To-Be)」を簡単な図や言葉でイメージしてみましょう。ここでは、「誰が・どんな情報を・どのタイミングで確認できれば便利か」「属人化している作業をどう標準化するか」などを考えることがポイントです。完璧な設計はまだ不要で、方向性が共有できるレベルで十分。
そして、この理想像をもとに現場・経営層・情シスなど関係者と認識を合わせる(合意形成)ことで、「なぜDXに取り組むのか」「何を優先すべきか」が社内で共有され、DX推進の土台ができます。
棚卸し → 優先順位づけ → 理想像のイメージ化 → 社内合意 → ツール検討の順番で進めてみましょう。
ただし、繰り返しますが、DXに「これが正しい進め方」はないため、それぞれの企業に合わせて手順もカスタマイズ可能です。参考にできる部分は参考になさってください。
中小企業のDXはなぜ進まない?失敗する企業の特徴とは?
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業務の棚卸しから少しずつ前に進んでいくと、中小企業でもDXの入口は決して難しくないことに気付きます。 ただし、次のような“思考・判断のクセ”や“思考の壁”がある企業は丁寧に業務の棚卸しを行ってもDXに失敗してしまう可能性があります。
今のやり方に固執し、DXの将来的な価値を見落としている
具体的な例を挙げましょう。
「今のやり方で困っていない」 「手書きの方が速い」「紙の方が感覚的にやりやすい」
こういった理由でデジタル化の必要性を感じないまま現状維持を優先してしまう傾向がある…これは中小企業に多くみられることです。
確かに、従来通り紙の伝票であれば数秒で記入できるし、慣れている方がなんだかんだ安心感がある。これは現場としては自然な感覚です。ただ、その判断基準は“今の作業スピード”に限られていることが多く、DXが目指すべき本来の価値とズレています。
DXの目的は、紙の業務をそのまま電子化することだけではありません。蓄積できるデータとして扱える状態にし、業務効率や意思決定の精度を高められるようにすることにあります。 紙のままだと、過去のデータを探す、共有する、分析するといった作業に手間がかかり、将来の業務改善や経営判断の障害になってしまいます。
つまり、DXが進まない企業に共通する特徴は「今のやりやすさだけを基準に判断し、DXの将来的な価値を見ていないこと」なのです。
DXに成功する中小企業の特徴
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今度はDXに成功する中小企業と特徴を見ていきましょう。
「情シスなんてない。ITに詳しい社員もいない」「システム導入にかけられる費用に余裕がない」「周囲に依頼できるIT企業がない」…このような一見DXに不利なように見える中小企業でも、以下のマインドセットができる場合は成功できる可能性が高くなります。
・DXの目的を“業務の効率化”にとどめず、将来の経営基盤を整える取り組みとして捉えている
・システム導入やデジタル化に伴う一時的な手間や非効率を受け入れ、変化に適応する姿勢を持っている
・業務や組織が将来どうあるべきかという目的・ストーリーを描けている
DXが果たす将来の役割や経営面での価値を見据え、そのためには変化にも耐性を持つこと。 そして、企業にとっての「なりたい像」をある程度明確にしておくこと。
これができていれば、開発側も「何を優先して作るべきか」「どの形が最も効果的か」を判断しやすく、「ぜひ、弊社に任せてください!」と主体的に提案ができる状態になり、結果的にシステムの開発、導入、定着までが上手く行くようになります。
時間・費用がかかっても…中小企業がDXを進めるメリット
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DXは想像以上に準備が必要、かつ、費用も時間もかかるビッグプロジェクトです。 ですから、実行する価値が本当にあるのか、疑問を持ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
「高額な費用と時間を投資してDXをやらなくても、他の方法があるのではないか」と。
これに対する開発側の答えはもちろん、「ある」です。業務効率化やコスト削減だけではない、副次的な効果も期待できます。 たとえば…
下請け体質から脱却できる
大手企業の受注生産に依存していた企業がDXを通じて自社の技術やノウハウをデータベース化し、独自商品やサービスとして事業化できるケースが挙げられます。 熟練者やハイパフォーマーだけが持つ現場の暗黙知をDXで「見える化」し、既存のものとは一味違う、付加価値の高いサービスを提供できるようになる可能性もあるでしょう。
採用力の向上、人材流出の防止
DXに取り組んでいる企業は、若手人材から「時代に合った戦略的・先進的な企業」として高く評価される傾向があります。 また、優秀な人材の社外流出を防ぐ効果も期待できます。中小企業にとって人材の定着は、今や死活問題です。そんな中、「この業務、システム化すればもっと仕事が進むのに…」「なぜうちはいつまで経ってもアナログのままなのか…?」と若手社員に不安を抱かせてしまっては、せっかく採用で人材を確保しても長く定着してくれません。 DXは単なる業務効率化ではなく、人材確保と組織の未来を守るための投資にもなり得るのです。
事業承継がスムーズに進む
属人化していた業務がシステム化されることで、後継者への引き継ぎが容易になります。 システム化により、業務手順や判断基準が標準化・明文化されて経営ノウハウや顧客情報がデータとして蓄積されるため、後継者は安心して事業を引き継げるようになるからです。システム化は共有と協力で組織を強化する役割も期待できます。
社会的信用と競争力の向上
経済産業省の「DX認定」や「DXセレクション」に選定されることで、取引先や金融機関からの評価が向上します。そうなると、次は新たな取引機会の獲得や融資条件の改善といった副次的効果も徐々に期待できるようになるでしょう。
時間をかけて着実に進めていけば、計画当初では想像できないほど成長できる可能性を秘めているのがDXです。 最初の段階で困難があるとしても、ここはぜひ、将来のために踏ん張っていただきたいです。
DXに必要な人材・スキルとは?
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DXには将来的な経営価値や組織成長の可能性がある一方で、成果が出るまでには時間も労力もかかります。 そして、その取り組みを成功に導くうえで欠かせないのが、「人」の存在です。 現場の業務を理解し、課題を言語化し、必要な仕組みを選び、社内に定着させる──その役割を担うのは、DXに必要な人材とはどのような人なのでしょうか。 ここでは、社内のDX担当者として適任な人物像について触れたいと思います。
情シスが兼任する場合:社内をつなぐ“橋渡し役”になれる人が最適
DXを情シスが担う場合、重要になるのは現場の業務を理解しているだけではなく、「この仕組みを導入すると現場はどう変わるか」を想像でき、関係部署と調整しながら進められるスキルが重要になります。
・想像力がある(現場の業務や使い方をイメージできる)
・コミュニケーションスキル(経営層・現場の双方と対話できる)・
・他部署を巻き込める力(社内の合意形成ができる)
情シスが“技術担当”に終始するのではなく、社内の橋渡し役として動けるかどうかが、DX成功のカギになります。
DX専任のポジションを作る場合
中小企業では少数派ですが、改めてDX担当を採用する場合は次のような点に留意して採用活動を行いましょう。多くの企業はコストや人材確保の難しさから、社内育成、兼任体制、外部委託などの方法でDX推進を進めています。
・必須レベルのITスキル 基本的なデジタルリテラシー
クラウドサービス(AWS、Azure、Google Cloudなど)の基本的な理解
SaaS(Salesforce、kintoneなど)の選定・導入経験
データベースやAPI連携の概念理解
セキュリティとコンプライアンスの基礎知識
・システム企画・導入の経験
業務要件定義の経験
ITベンダーとの折衝能力
システム導入プロジェクトの管理経験
ROI(投資対効果)の算出と説明能力
・あると望ましい資格・知識
ITコーディネータ 基本情報技術者試験程度の知識
プロジェクトマネジメント(PMP、PMBOKなど)
DX推進やデジタル戦略に関する実務経験
・ビジネス理解力(最重要)
自社の事業モデルと業務プロセスの深い理解
経営課題とDXの結びつけができる視点
業界動向と競合分析の能力
DXの進め方に迷ったら、相談から始めるのも手
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ここまで色々とお話ししてきましたが、DXは自社だけで完璧な計画を立ててから始めなければいけないものではありません。 将来の理想像はある程度イメージできていれば十分で、最初の段階からすべてを言語化できている企業の方が珍しいのです。(これが始めからできていれば、前述のフェーズで1や2に入っている中小企業はもっと多いはずです)
むしろ、専門家との対話を通じて、「どの業務から変えていくべきか」「そもそも何のためにDXをするのか」といった目的や優先順位が整理され、だんだんと“自社にとってのDXの形”が見えてくることがあります。
「DXに取り組む必要は感じているが、どこから始めればよいかわからない」 「自社の場合、DXで何ができるのか整理したい」
このような段階がしばらく続いているようであれば、コンサルティングを行っている開発企業に相談ベースで問い合わせするのも手でしょう。 実際、弊社リトルソフトのお客様にもコンサルティングを通して課題の整理や今後の方向性を見出し、結果、業務効率化に成功したお客様がいらっしゃいます。 (導入事例:製造業向け受注システム開発で35%の営業コスト削減を実現!|HOYA Technosurgical様)
貴社の現状や課題を伺いながら、無理なく踏み出せるDXの第一歩を一緒に考えていきましょう。
「DX推進、何から始めればいいのかわからない」
このような中小企業のお客様をDX成功に導いてきました。DXの進め方や開発のご相談など、お気軽にお問い合わせください。