
「湖医会」は滋賀医科大学の同窓会であり、同校の発展と会員の親睦、そして医学の進歩に寄与することを目的とした校友コミュニティです。リトルソフトは湖医会の同窓会アプリ構築プロジェクトに参画しました。
自社開発のクローズドSNSツール「konoMi Space」を開発プラットフォームとして活用し、湖医会のニーズに合わせたカスタマイズを実施。これにより、校友の親睦に必要な機能をすべて装備した同窓会アプリを短期間で構築できました。
導入後、本アプリは単なる情報共有や連絡手段にとどまらず、それぞれの属性を超えて交流できるコミュニティサイトのような役割を果たしています。
インタビューのポイント
- ・同窓会の会報配布では校友の「縦のつながり」の構築が難しい。
- ・同窓会アプリを作ることで同窓会の情報共有方法を全面的にデジタル化。世代や職種、地域などの属性を超えた双方向のコミュニケーションが実現した。
- ・高機能な同窓会アプリはコミュニティサイトに匹敵する役割を担い、同窓会運営のデジタル化で校友のつながりを強化できると実感。
同窓会のつながりをアプリで…デジタル化検討の理由とは?
滋賀医科大学の開学は1974年。半世紀以上にわたり多くの医療従事者・研究者を輩出してきましたが、「縦のつながり」の構築が難しかったといいます。
--世代や職種が異なると、同じ校友でも交流を持てる機会が限られるため、卒業した先輩がどのようなキャリアを歩んでいるのかが在校生に伝わりにくい状況が続いていました。
その一方で、卒業生側からも「経験を共有したい」「進路の参考になれば」との思いがあっても、後輩に伝える場がなかなか持てませんでした。こうした状況は、校友ネットワークを強化したい同窓会にとって大きな課題です。
これまで、湖医会では会報の配布を通じて情報共有を行ってきましたが、紙ベースの方法には限界がありました。たとえば、
- ・一方通行の情報発信になりやすく、双方向の交流が生まれにくい
- ・発行や発送にコストと手間がかかる
- ・情報がタイムリーに届かない
- ・読み手からの反応や意見を集めづらい
このようなデメリットは顕著です。そこで持ち上がったのが、校友をつなぎ、双方向の交流を可能にする同窓会のためのデジタルツールの導入でした--
同窓会プログラムの連絡や出欠管理、校友探しも…同窓会アプリ一つですべて実行可能に

湖医会が抱えている課題・ご要望を踏まえ、リトルソフトは自社開発クローズドSNSツール「konoMi Space」を基盤に、以下の機能を装備した同窓会アプリを開発しました。
--校友がどこでどのように活躍しているのかを可視化し、連絡が取りやすくなるツールを希望していました。その結果、次のような機能が一つのアプリに揃い、単なる名簿検索やイベント案内を超えた、医療従事者としてのキャリア形成を支える高機能な同窓会アプリが完成したのです。
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詳細なプロフィールと会員検索機能
湖医会アプリの会員プロフィールには学部・学科、職業、資格、所属医師会など、医学生や医療従事者に特化した項目が追加されています。これにより、卒業生の専門や在学生の興味・関心の方向性が明確になり、さらにこれらの項目を条件とした会員検索機能で、目的に合った人材やキャリアモデルを効率的に見つけられるようになりました。
つまり、単なる名簿検索ではなく、「どの医療機関で、どのように活躍しているのか」まで把握できるようになります。
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管理者による安全な会員登録
会員の登録は湖医会事務局の管理者によって行われるシステムになっているため、同校の関係者以外の第三者が不用意に参加することを防止できます。
本同窓会の性質を考慮し、限られたメンバーのみが利用できるクローズドな環境による安心感が必要だと考えたのです。
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グループごとの交流やイベントの出欠確認も可能に
アプリ内では卒業年度や学部、医局や診療科単位など任意のグループを作成でき、それぞれのグループ内でチャットや通話のコミュニケーション、情報共有、イベントの出欠確認等が行えます。
使い方によっては同窓会プログラムの案内はもちろん、研究分野ごとのネットワークづくりまで可能になります。
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校友の所属医療機関を地図で可視化
卒業生が在籍する医療機関をGoogleマップ上に表示し、各地に広がる校友ネットワークを可視化しました。この機能により、地域を越えた校友同士の交流が促進されるほか、在校生にとっても「先輩がどこで活躍しているか」を知れる材料となり、キャリア形成の大きなヒントになります。--
機能・カスタム次第で同窓会アプリはコミュニティサイトに進化する
こうして完成したアプリは、デジタル上の”親睦の場”という立ち位置を超え、医療人としての学びと成長を支えるコミュニティサイトのような役割を果たしているといいます。
--先ほどお話しした通り、湖医会の同窓会アプリでは、会員プロフィール検索やグループ交流、マップ連携などの機能を組み合わせることで、紙の会報では実現できなかった双方向コミュニケーションの場を作り出すことができました。もはや、同窓会のコミュニティサイトのような役割を果たしていると言って良いでしょう。
学校以外の団体においても、「情報の蓄積・整理」と「検索性」を補完する機能をカスタマイズして加えていけば、専用のコミュニティサイトに匹敵するアプリになると実感しています。
また、紙の会報のように「届かない」「タイムラグがある」といった不便さもなく、必要な情報を必要なときに共有できる点も大きなメリットです。
医療系学部の進路の幅が広がりつつある今、校友とのコミュニケーションにも工夫が必要になっています。つながり方をデジタル化すれば、もっと気軽に、確実に交流を維持できるのではないでしょうか。--